まだ下値を拡大している。米10年債利回りはさらに低下し、またトランプ関税を背景にしたリスク回避姿勢も継続しているが、堅調なドルがドル建て商品全般の重石となっている印象が強い。何よりその他市場急落に伴った補填目的の換金売りが、高騰するゴールドを押し下げている印象は否めないところだ。
まだ底打ちを確認できたわけではないだけに、もう一段の下値模索は想定せざるを得ないのが実状といえそうだ。ただ60分足MACDが0ラインと乖離した水準にて概ね横ばいとなっているなど、短期サイクル的にはすでにいい水準まで下落した印象も否めない。そうなると雲に押さえられている60分足・一目均衡表にしても、その雲との乖離具合が意識されてもおかしくないところだ。まだ決め打ちは厳禁だが、過度な悲観は控えておきたいところだ。
以上を踏まえて当面のポイントは、
(1)昨年12月19日以降の上昇に対する38.2%押し2814.9ドルを下値支持線、24日以降の下落に対する半値戻し2906.3ドルを上値抵抗線とする。
(2)12日安値を下回っただけに、前記支持線まで下値メドは引き下げざるを得ない。ただその度合いは極めて小さく、まだ下値メドとして意識されている可能性は否めないところでもある。そうなると冒頭で記したように、下げ渋り→反発につながる可能性も鑑みなければならなくなってくる。まだ下げ止まりを確認できたわけではなく、さらに下回ると2800ドルの大台を経て、同半値押し2771.4ドルへ押し戻される展開も想定せざるを得なくなってくるが、過度な懸念は控えておきたいところだ。
(3)前記抵抗線を上回ると、同61.8%戻し2918.0ドルを経て、史上最高値となる24日高値2955.9ドルに再び押し戻される展開が想定されるところだ。そしてさらに上回ると、3000ドルの大台ラインを経て、再び「往きつくところまで」へと回帰しかねない点には注意が必要だ。ただし直近の下落を経ても、高値圏であるという点は何ら変わっていない。そう簡単に崩れるとは思わないが、再び上値模索に転じるためにはまずは下値をしっかり固める必要があろう。少なくとも上方向へのメリットよりも、まだ下方向のリスクの方が大きいとの見方は、想定しておきたいところだ。
(15:30)
シルバー日足・60分足分析《一目均衡表・MACD》
こちらも軟調推移を続けているが、ゴールドに比べてその値幅は小さい。ゴールドほど高値警戒感が台頭していないこともあるが、先月末水準まですでに下げていることも影響していそうだ。
それだけに短期サイクル的には、ゴールドほど突っ込んでいる印象は見られていない。特に60分足MACDは0ラインとそこまで乖離していない中、すでに舳先を上方向に転じつつあるように見える。これを下値が堅いと見るか?それとも出遅れていると見るか?で方向性は180°変わってくることになるが、日足・一目均衡表の雲に接近しつつあるという後押しもある。まだ幾ばくかの値幅が存在しているだけに、すぐさま下げ止まるかは微妙といわざるを得ないが、やはり下値余地は小さいと考えたいところだ。
以上を踏まえて当面のポイントは
(1)31ドルの大台ラインを下値支持線、20日以降の下落に対する半値戻し32.138ドルを上値抵抗線とする。
(2)11日安値を下回っただけに、前記支持線まで下値メドは引き下げざるを得ない。ただしその手前には昨年12月31日以降の上昇に対する半値押しがあり、本稿執筆時にはすでに当該水準に達している。明確に下回ると、同61.8%押し30.526ドルを窺いにかからないとも限らないが、冒頭で記したように日足・一目均衡表の雲が控えている現状でもある。さらに下回ると、30ドルの大台ラインを経て、1月13日安値29.497ドルに向けて動き出さないとも限らないが、そのためにはかなりのネガティブが新たに必要と見ておくべきだろう。
(3)前記抵抗線を上回ると、同61.8%戻し32.388ドルを経て、その20日高値33.198ドルに押し戻される展開が想定されるところだ。そして14日高値33.386ドルを上回る様なことがあると、一気に上値を伸ばさないとも限らない点には注意が必要といえる。ただしセンチメントは芳しくなく、またゴールドほどではないにせよ、高値圏であるというテクニカルも変わっていない。そう簡単に崩れるとは思わず、期待感はより増しているとも考えるが、そのためにはまず下げ止まりをしっかりと確認する必要があろう。
(15:50)
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