トランプ大統領が就任してから、ドルは下げ続けている。日々の相場展開からはすぐに感じられないかもしれないが、チャートを見ると一目で判別できる。やはりトランプ氏の本心は、ドル高を好んでいないのではないかと勘繰ってしまう。この流れは一過性なのか、それともドル安の序章になるのか。答えはまだ見つかっていないが、個人的には、2028年に向かって、ドル安、円高が進んでいくのではないかと長期の相場感を持っている。
筆者が「少し動きが変だ」と思った最近の相場展開は、先週の米CPI発表後の動きであった。指標は、総合コアとも前月比、年率共予想を超える上昇、これまでであれば、疑いもなくドル買いが進む場面であった。確かに発表直後はドルは急上昇、ドル円は154円台まで約1円急騰したが、その後じりじりと下落。日足は陽線だったが、翌日にはその上げ分を解消するドルの下落、思わず「なんだこれは!」という気持ちが正直なところであった。
その後も取り返すこともなくドルは151円台まで下落、一目均衡表やトレンドライン等のテクニカル的にもドルは下を向いている。ドル安の大きな理由として、日銀の早期利上げ期待による円高(ドル安)があるとの見方があることは承知している。しかし今回はそれだけではない「何か?」があると考えている。なぜならドル指数(ドルインデックス)も低下しているからだ。
トランプ大統領が就任前の1月13日に、2022年11月以来の高値となる110.176を付けた後、就任日の1月20日には109.453から107.917に急低下、2月3日に瞬間ジャンプ(ノイズと思われる)した以外は傾向的にドル安が続いている。相場は円高だけではなく、れっきとしたドル安地合いとなっていると読んでいる。
この背景は何か。一つは、トランプ政策に対する内政不安の高まりである。反トランプのストが拡大したことや、DOGEのマスク氏に対する反発が高まっていることがニュースで伝わっているが、米国の友人からもこれまでになく不穏な空気が伝わってきている。3月に入れば、モラトリアムで延長してきた債務天井の期限が到来し、政府閉鎖懸念の再燃が起こる。トランプ大統領1期目には、それまでに経験したこともない長期の閉鎖が行われた。その間は、経済指標は発表されず、まさに視界不良が1か月以上も続き、金融市場も混乱に陥った経験は強烈であった。このような不安定で、不確実性の高まりで、再び金相場は反発している。近いうちの3,000ドル(1オンス)は、もう目の前だ。
日本が国会で年度内予算成立が確実になれば、円への注目は一気に高まることは間違いないであろう。今週21日の日本の消費者物価はこれまでなく大きな注目だ。コアで3%越えが続けば、150円割れは必至と見ている。
そこで、今後1週間の相場予想では、ドル円は149.20-152.80円と円強含み維持と予想。またユーロドルは1.0300-1.0550と先週とほぼ同じ、ユーロ円は156.50-160.00円とユーロ安と予想する。そして英ポンドドルは、本日の予想以上の消費者物価(総合3.0%、コア3.7%と前月より0.5%の大幅上昇)を受けて1.2450-1.2750のポンド高を予想する。
(2025/2/19、 小池正一郎)
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